※ネタバレがありますのでご注意ください。
ドラマ「地面師たち」は綾野剛・豊川悦司のW主演で実際の詐欺事件を元にした話題作ですが、実話はどこまでなのでしょうか?
そして実際の事件となった土地はどこなのでしょうか?
「地面師たち」はNetflixで制作され2024年7月から配信されているサスペンスドラマですが、実話にヒントを得た新庄耕氏の同名小説をもとに作成されたフィクションで構成されています。
東京オリンピック誘致決定後に東京の地価が値上がり続ける状況で、プロの不動産詐欺集団が同じくプロの大手不動産会社を相手に巧みに騙して巨額の現金を盗み取った詐欺事件を描いています。
実際の事件となった土地には現在、大手企業による高級タワーマンションが建っており、今もなお続く東京都心のマンションブームの一面を示すものでもあります。
この記事では「地面師たち」のどこまでが実話なのか、実際の事件となった土地はどこなのか、まとめて記載してみました。
「地面師たち」実話はどこまで?
ドラマ「地面師たち」は、2017年6月に実際に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」を元に制作されたNetflixのドラマシリーズです。
ストーリーは巧妙に仕組まれた詐欺事件を描き、巨額の資金を狙う地面師集団と、彼らを追う警察のスリリングな攻防が描かれています。
主要な登場人物としては、地面師集団のリーダー・ハリソン山中(豊川悦司)、その交渉役を務める辻本拓海(綾野剛)、そして彼らを追う刑事などがいます。
担当刑事は警視庁捜査2課の警部の下村辰夫(リリーフランキー)、巡査部長の倉持玲(池田エライザ)です。
また、その他に染谷将太、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、山本耕史など、多彩なキャストが脇を固めています。
このドラマは、詐欺の背後にある複雑な人間関係や欲望、そして騙し合いを緊迫感溢れるシーンの連続で描いており、視聴者に強い緊張感を与える内容となっています。
どこまでが実話なのか、以下のポイントにまとめてみました。
大手不動産会社が被害者である
実話の被害者は「積水ハウス株式会社」で本社所在地「大阪府大阪市北区大淀中一丁目1番88号」こそ違いますが、ドラマでは1963年10月設立の大手不動産会社「石洋ハウス」と設定されています。
積水ハウス株式会社は設立年月日1960年8月1日、資本金約2031億円(2024年6月5日現在)、従業員数役1.5万人(2024年1月31日現在)の日本を代表する大手ハウスメーカーです。
ハウスメーカーが母体ではありますが、不動産開発事業も手がけていてデベロッパーでもあります。
ドラマ「地面師たち」では、会社「石洋ハウス」がより一層社業を躍進させるための目玉事業を喉から手が出るほど欲しがっていたという状況がよく似て描かれています。
巨額の被害金額である
ドラマでは112億円でしたが、実際の被害金額は約55億5000 万円とやはり巨額なものでした。
ドラマではインパクトの大きさを強調する意図のため、仲介不動産会社の手数料を除いた金額で100億円になるようにかさ上げしたものと思われます。
実際の詐欺の手口をベースにしている
その道に精通した高度に専門的な特殊な技能を有する複数のメンバーが関わり、カリスマ性のあるリーダーの元に統率され組織的効率的に一貫して極めて有能に機動的に行動しています。
実際の積水ハウス地面師事件でも同様に、他人の土地や建物を詐取するために偽造書類を作成し、詐欺行為を行いました。
実際に複数のメンバーが役割分担をして組織的に犯罪を実行しています。
また、ドラマでは、地面師たちが巧妙に公式書類を偽装し、不動産の売買契約を成立させるシーンが描かれています。
実際の積水ハウス地面師事件では、偽造された印鑑証明書や登記簿を使って、第三者に不動産を売却する手口が使用され、事件ではこれらの偽装書類が取引や決裁の中心的な役割を果たしました。
決済手段として換金が容易で引き出し記録が残らない銀行小切手が複数枚に別れて使われていた点も同じです。
犯人の名前など犯行集団の属性が似ている
ドラマのリーダー役はハリソン山中ですが、積水ハウス地面師事件の犯行集団のリーダー役はカミンスカス操という偽名を使っていました。
カミンスカス操が海外に逃亡したところもドラマと同じです。
カミンスカ操はフィリピンに逃亡しましたが当局に拘束され日本で逮捕されました。
もう一人いたリーダー役のマイク内田も逮捕され犯人15人に対して実刑判決が出ています。
実話にまつわる逸話が多数引用されている
都心のまとまった一等地で未活用状態であったのに実際の売り主が頑なに売却を拒んでいた点が同じです。
積水ハウスには、実際の地主本人ではない者による土地の売買の架空話である、と暴露する文書が届いていましたが、ライバル企業による妨害として扱われ無視された点は同じです。
ドラマの石洋ハウスの社内では社長派と会長派とが対立していましたが、実際の当時の積水ハウスの状況も同じような状況だったようです。
社長案件として社内稟議を特別扱いで超短期で通したストーリーも実話をよく真似しています。
土地所有者の本人確認が会社としての決裁後、という点も同じです。
法務局から登記移転が拒否されることで詐欺事件が発覚する、という点も同じです。
犯人は逮捕されたがお金は戻っていない
実際の被害金額約55億円のほとんどは戻ってきていません。
被害金額の資金の流れをつかみ切れていないと報道されています。
実際には2021年1月に地面師5名に対し10億円の賠償を命ずる判決が出ましたが、支払い状況は不明です。
「地面師たち」実際の事件の土地はどこ?
ドラマ「地面師たち」では東京都港区高輪にある光庵寺の駐車場でしたが、実際の積水ハウス地面師詐欺の事件の土地は東京都品川区五反田にある老舗旅館「海喜館(うみきかん)」でした。
ドラマの光庵寺も駐車場も高輪に実在するものではなく、CG合成などによるフィクションの架空の舞台です。
実際の土地はJR山手線の五反田駅から徒歩3分ほどの場所に実在している、抜群の立地のまとまった面積の土地です。
都心の好立地であり、現在は旭化成による高級タワーマンション「アトラスタワー五反田」が建っています。
実際の事件の敷地概要
住居表示 東京都品川区西五反田2丁目22番6号
地名地番 東京都品川区西五反田2丁目22番1他4筆
最寄り駅 JR山手線五反田駅から徒歩3分
郵便番号 141-0031
敷地面積 2,079.57 ㎡ 629.07坪
地域地区 用途地域:商業地域、防火地域:防火地域
基準容積率 700%
基準建蔽率 80%
接道状況 四周道路、最大前面道路幅員約8m
旧所有者 海喜館(うみきかん)
現所有者 分譲住宅所有者等による区分所有(推定)
分譲会社 旭化成不動産レジデンス株式会社
「地面師たち」実話はどこまで?実際の事件の土地はどこ?まとめ
2024年7月からNetflixで公開中のドラマ「地面師たち」は実際に起きた詐欺事件をベースにしたサスペンスドラマですが、どこまでが実話で実際の事件の土地はどこなのかまとめて記事にしました。
ハリソン山中役の豊川悦司さんと辻本拓海役の綾野剛さんがハマリ役で迫真の演技はスリルとサスペンスにあふれ、強い刺激があり見ごたえある重厚なドラマです。
実際の詐欺事件は品川の一等地で大手住宅会社の積水ハウスを相手に巨額の土地代金を騙し取ったものであり、ドラマもこの事件を題材とした小説を元に構成されています。
この実際の事件のことは新聞やニュースで知ってはいましたが、ドラマでは実際の地面師たちの実話がどこまでなのか、実際の事件の土地がどこなのか、気になったため、今回まとめてみました。
ベースとなった新庄耕氏の小説は現在続編「地面師たち ファイナル・ベッツ」が刊行されており、ドラマの続編も期待されるところです。
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