映画オッペンハイマーは2024年アカデミー賞で、作品賞・監督賞(クリストファー・ノーラン)・主演男優賞(キリアン・マーフィー)を受賞した話題作ですが、r指定なのはなぜでしょうか?
子供たちと一緒に家族で見て気まずい映画なのでしょうか?
世界で唯一の被爆国の日本人としては見るべき映画かもと思ってしまいますが、子供たちに有害だったり一緒に見て気まずいのであれば、家庭で観るには配慮が必要なのかもしれません。
この記事では実際に映画を鑑賞した筆者が、2024年の話題作オッペンハイマーがr指定なのはなぜか、家族で見て気まずい映画なのか、まとめてみました。
ネタバレなしで記載しますので鑑賞前にぜひご参考にしていただければと思います。
「オッペンハイマー」がr指定なのはなぜ?
原子爆弾の開発の中心的人物だったオッペンハイマーの物語ということで、科学的な困難を解決した様子を描いた映画かと思いましたが、観てみたら全く予想とは異なる内容の映画でした。
この映画は完全に米国の第2次世界大戦での新兵器開発の顛末とその後を描いた政治映画です。
主役のオッペンハイマーが政治に翻弄され科学的成果を国家間のパワーバランスを優位に築きたい政府によりされるがままになる様子が描かれています。
歴史的な物理科学の成果の一つとしてみるべき映画ではありませんので注意が必要です。
映画オッペンハイマーが日本で年齢制限を受けた理由は、主に以下の要素に関連しています。
これらの要素を踏まえ、日本では15歳未満に不適切と判断され、R15+指定となっています。
15歳未満の方の入場・鑑賞が禁止です。
この指定は、日本の映倫(映画倫理機構)が行う審査の結果に基づいており、保護者のガイダンスのもとで視聴するか、一定年齢以上の視聴者に限定されるものです。
性的描写
映画オッペンハイマーには男女のヌードや性的なシーンが複数含まれており、強い刺激となっていてこれが日本での年齢制限の大きな理由の一つです。
これらのシーンは日本でも不適切とされる場合があり、若年層には見せるべきでないと判断されました。
暴力的な描写
映画オッペンハイマーでは第二次世界大戦での戦争や原子爆弾の開発に関連した暴力的なシーンが含まれています。
これがさらに年齢制限を設ける理由となっています。
テーマの重さ
映画オッペンハイマーのテーマは原子爆弾の開発やその倫理的影響に関する非常に重いもので、特に若年層には理解や消化が難しい内容となっています。
戦争や科学の責任に関する倫理的な問題が中心にあるため、年齢層に適した視聴が求められています。
「オッペンハイマー」は海外でもR指定なのか?
海外では多くの国でR指定に相当するレーティングを受けていますが、国ごとに異なるレーティングシステムがあるため、名称や基準が異なります。
以下に海外主要国での年齢制限について記載しています。
これらの例からわかるように、海外では主要国で年齢制限が設けられており、映画の内容が若年層には不適切とされることが多いようです。
アメリカ(USA)
MPAA(アメリカ映画協会)によってR指定(17歳未満は保護者同伴が必要)を受けています。
これは、ヌードシーンや性的描写、暴力的なシーン、重いテーマが理由です。
アメリカでは、映画の年齢制限(レーティング)は主に映画協会(MPA: Motion Picture Association)が管理する映画レーティング委員会(CARA: Classification and Rating Administration)によって決定されています。
このシステムは、映画業界が自主的に運営しており、法的な強制力はありませんが、業界内で広く採用されているため、映画館や配信プラットフォームで使われています。
イギリス
15指定を受けており、15歳未満の視聴は禁止されています。
映画で性的描写や暴力的な内容が含まれているためです。
イギリスでは、映画の年齢制限(レーティング)はイギリス映画分類協会(BBFC: British Board of Film Classification)によって決定されます。
BBFCは独立した非営利団体であり、映画やビデオ、DVD、ブルーレイ、そして一部のオンラインコンテンツに対してレーティングを付与します。
BBFCのレーティングは法的に拘束力があり、映画館や販売業者はこれを遵守する義務があります。
カナダ
各州によって異なるものの、映画オッペンハイマーでは一般的に14A指定(14歳未満は保護者同伴)が適用されています。
カナダでは、映画の年齢制限(レーティング)は各州や準州ごとに異なる機関が担当しています。
カナダには全国統一の年齢制限システムはなく、州や準州の映画審査機関が個別に判断を行っています。
フランス
CNC(フランス国立映画センター)では-12指定を受けており、12歳未満の視聴が禁止されています。
暴力的なシーンや性的描写など、子供には不適切とされる内容が含まれている場合に適用されます。
フランスでは、映画の年齢制限(レーティング)はフランス文化省の下にある映画映像局(CNC: Centre national du cinéma et de l’image animée)が担当しています。
この機関は、映画の審査を行い、適切な年齢制限を設定します。
映画の内容やテーマに基づき、主に未成年者の保護を目的としてレーティングが付けられます。
地方自治体が独自の判断で、映画に対して異なる年齢制限を設定することもありますが、ほとんどの場合、CNCの決定が尊重されます。
フランスの映画レーティングシステムは、映画館や配信プラットフォームでの映画の公開に際して厳密に適用され、未成年者の視聴に対して適切な保護が提供されています。
ドイツ
FSK(映画ビジネス自主規制協会)ではFSK12に指定されており、12歳未満の子供は視聴が禁止されています。
この年齢制限(レーティング)は、映画内に含まれる暴力的なシーンや性的描写、重いテーマに基づいて決定されています。
FSK12の指定により、保護者の同意があれば12歳以上の若者が観ることができますが、子供には不適切とされています。
ドイツでは、映画の年齢制限(レーティング)は主にドイツ映画審査機構(FSK: Freiwillige Selbstkontrolle der Filmwirtschaft)によって決定されます。
FSKは、ドイツ国内で公開される映画、ビデオ、DVD、そして一部のオンラインコンテンツに対して年齢制限を設定します。
このシステムは自主規制ですが、広く遵守されており、特に未成年者の保護に重点を置いています。
イタリア
ほとんどの上映においてT指定(全年齢対象)かVM14(14歳未満は視聴不可)とされています。
イタリアでは、映画の年齢制限はイタリア文化省(Ministero della Cultura)に属する特別委員会によって決定されます
映画やメディアコンテンツの文化的な側面と倫理的な観点から審査を行い、適切な年齢制限を設定しています。
オーストラリア
MA15+指定となっており、15歳未満は保護者同伴が必要です。
オーストラリアでは、映画の年齢制限(レーティング)はオーストラリア分類委員会(Australian Classification Board, ACB)によって決定されます。
この機関は、映画、ビデオ、コンピュータゲーム、その他のコンテンツに対して、国内での年齢制限を設定し、その基準に基づいて評価します。
オッペンハイマーは家族で見て気まずい映画か?
まず、中学生以下の子供には見せないほうが良いし、一緒に見ることのできる映画ではありません。
そして、高校生以上の子供で原子爆弾がなぜ誕生したのか、生み出した国の論理や政治的背景、科学者たちの関与について知りたいと思っているなら、一緒に見ても良いのではないかと思います。
ただし、注意すべき点があります。
性描写について
3回ほど性的描写シーンがありそれなりの強い刺激があるため、よくよく熟慮したほうがよいでしょう。
性についての理解があり、性的描写シーンへの耐性がある程度ある子供であれば、家族で一緒に見ても気まずい映画ではありません。
ただ、性的描写シーンにあまり慣れていない子供であれば、一緒に見て気まずい思いをする可能性はとても高いと思います。
暴力を連想させるシーンについて
また、映画では核爆発のシーンがあり、その特有の破壊的映像や轟音は広島や長崎の原爆の様子を想起・連想させる可能性があり、子供には強い刺激を受ける可能性があります。
また、日本に投下された原爆の人体への影響についての報告のシーンもあり、その惨状を知っている場合は、連想・想起してフラッシュバックを起こす可能性もあります。
重すぎるテーマ
第2次世界大戦の勝敗をも左右する重要な要素であった原子爆弾の開発・製造の中心人物の成功と苦悩を描き、戦争や原爆自体の倫理問題も考えさせられる非常に重いテーマを抱えた映画です。
戦勝国から見た論理でこのテーマを描いており、予備知識の浅い子供には理解に苦しむつらい場面が多々あるかもしれません。
爆弾が人を殺す兵器であることを理解した上での鑑賞なら気まずくなることはないでしょう。
そうでないならば親としての配慮に欠けているかもしれず、気まずくなるかもしれません。
「オッペンハイマー」がr指定なのはなぜ?家族で見て気まずい映画か?まとめ
2024年アカデミー賞を最多7冠で席巻した映画「オッペンハイマー」がr指定なのはなぜか?調べて記事にまとめてみました。
性描写・暴力性・重いテーマがr指定の理由でした。
家族で見て気まずい映画かどうかは、この3つの理由に耐えられるか・パスできるかによると思います。
少なくても私は子供たちとは見るのは避けようと思った映画でした。
なぜなら、オッペンハイマーは科学テーマの映画ではなく政治テーマの映画だったからです。
政治に翻弄される物理学者の成功とその後の苦悩を3時間に渡ってとても濃密に迫真の演技で描いています。
各国でr指定を受けており、子供達には刺激の強い映画であることは間違いありません。
この記事を読んで家族で見て気まずい映画かどうか、ご参考になれば幸いです。
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