新海誠はジブリに似てる?作品への影響はある?

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新海誠はジブリに似てる? 作品への影響はある? バラエティ

※ネタバレを含んでいますのでご注意ください。

新海誠監督は近作3作で現代日本を代表するアニメーション映画作家となりましたが、方や世界的にも評価の高い日本アニメ界の至宝スタジオジブリに似てるのでは、という指摘もちらほら見られます。

似てるとすれば、新海誠監督の作品自体へはどのくらい影響を与えているのでしょうか?

この記事では新海誠監督作品がジブリに似てるかどうかについて考察し、作品への影響について具体的にポイントをあげて記載してみました。

新海誠監督とスタジオジブリとは、そもそもアニメ映画で表現しようとしている世界そのものが大きく違いますが、幅広い年代層から支持を受けて高い評価を得ている点では一致しているところです。

アニメスタジオやアニメ会社の出身者ではない新海誠氏がここまで名声を築き上げてきたのは日本アニメーション界では極めて異例とも言えますが、氏の並々ならぬ精神力と不断の努力で勝ち取ったものでもあるといえるでしょう。

そんな、新海誠監督が宮崎駿監督率いるスタジオジブリに似てるのかどうか、それは作品にどのように現れているのか、確認してみたいところです。

新海誠はジブリに似てる?

新海誠監督の映画作品がジブリに似ているポイントについて以下にまとめてみました。

これらの点で、新海誠とジブリの映画には共通した魅力があるといえるでしょう。

自然の描写と風景描写の美しさ

新海誠監督の作品では、美しい空や自然の風景を緻密に描くことが特徴です。

例えば「君の名は。」や「天気の子」では、空の広がりや光の表現、雨のシーンなどが圧倒的な美しさで描かれています。

ジブリ作品も同様に、自然の描写が豊かであることが特徴です。

特に、宮崎駿監督の「となりのトトロ」や「風立ちぬ」では、自然の四季や風の流れ、田舎の風景が丁寧に描かれ、観客に自然の息吹を感じさせます。

両者とも、自然を単なる背景としてではなく、ストーリーの一部として捉えており、風景がキャラクターの心情や物語の進行に寄り添っています。

現実と非現実の融合

新海誠監督の作品には、現実世界にファンタジー要素が入り込む設定が多いです。

「君の名は。」では、夢の中で入れ替わるという設定が日常に溶け込んでおり、「天気の子」でも、天気を操る少女という非現実的な要素が現実の東京を舞台に描かれています。

ジブリ作品も同じように、現実とファンタジーが交錯する物語が多く見られます。

「千と千尋の神隠し」では、現代日本の少女が異世界に迷い込み、「ハウルの動く城」でも、現実的な人間ドラマと魔法が同居しています。

両監督は、現実の風景に非現実的な出来事を融合させることで、日常と異世界の境界を曖昧にし、観客を不思議な世界観へと誘います。

普遍的なテーマと人間ドラマ

新海誠監督の作品では、恋愛や喪失、時間の流れといった普遍的なテーマが描かれています。

「秒速5センチメートル」では、遠距離恋愛による切なさや、時間とともに変わる感情がテーマとなっており、「君の名は。」でも「人と人とのつながり」を強く描いています。

ジブリ作品でも、成長や愛、自然との共生といったテーマが中心に据えられます。

「風の谷のナウシカ」では、人間のエゴと自然との関係性がテーマであり、「もののけ姫」では人間と自然の対立と調和が描かれています。

両者とも、人々が抱える感情や社会的な問題を物語の核にし、観客に考えさせる要素を含む作品づくりを行っています。

若者の成長と内面的な葛藤

新海誠監督の作品では、特に若者の視点からの成長や葛藤が描かれることが多いです。

「君の名は。」や「天気の子」では、主人公たちが自分の居場所や未来に対する不安を抱えながらも、それを乗り越えていく様子が描かれています。

ジブリ作品もまた、若者の成長物語が多く、「千と千尋の神隠し」では千尋が異世界での経験を通じて強く成長し、「魔女の宅急便」では、キキが自立していく姿が描かれます。

このように、若者が困難に立ち向かいながら成長していく姿を描く点でも、両者の映画には共通点があります。

音楽や音の使い方

新海誠監督の作品では、音楽と映像の融合が作品の感情を高める重要な要素となっています。

特に「君の名は。」や「天気の子」では、RADWIMPSが手がける楽曲が物語の展開と連動し、観客の感情を揺さぶります。

音楽がキャラクターの心情を強く表現し、映像と一体化することで、シーンに深い印象を与えています。

ジブリ作品では、久石譲が作曲した音楽が映画の世界観を支えています。

「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」などでは、テーマ音楽が作品全体に流れる詩的な雰囲気を生み出し、観客に深い感動を与えます。

音楽が風景や登場人物の心情と調和し、ジブリ特有のファンタジックな世界観を作り出しています。

新海誠監督とジブリの作品には、それぞれの音楽と映像が密接に結びついており、物語のエモーショナルな瞬間を盛り上げる役割を果たしています。

音楽が単なるバックグラウンドではなく、シーンを彩る重要な要素として機能している点で、観客に強い印象を残すことが共通しています。

音楽の使い方を通じて、両者は物語の感動を増幅させ、観客の心に深く残る作品を生み出していることがわかります。

新海誠監督作品とジブリの映画には、以上のような共通点が見られるものの、それぞれの監督が持つ独自のスタイルや美学もあります。

新海誠監督はデジタル技術を駆使した映像美を追求し、細部にまでこだわったリアルな風景描写が特徴です。

一方、ジブリ作品は手描きアニメの温かみや、どこか懐かしい雰囲気を大切にしています。

この違いが、両者の作品に独特の魅力を与えているといえるでしょう。

作品への影響はある?

新海誠監督のアニメ映画作品を時系列で並べ、ジブリによる作品への影響について記載してゆきます。

作品ごとにジブリによる影響やオマージュと見られる設定やシナリオ、アイテム、シーン、映像などが数々見られます。

星を追う子供

キャラクターについて

少年と少女の冒険モノファンタジー映画という仕立てが「天空の城ラピュタ」そっくり。

主人公の明日菜が元気で活発なところやキャラが「となりのトトロ」の主人公さつきにそっくり。

明日菜だけに懐いている猫のような不思議な動物ミミは「風の谷のナウシカ」のナウシカだけに懐いているテトに酷似している。

線路の上に現れたケツァルトルは「となりのトトロ」などジブリに登場する架空の生物そっくり。

そのケツァルトルから明日菜を救ったアガルタから来たシュンは「千と千尋の神隠し」で千尋を救ったハクそっくり。

森崎先生が「天空の城ラピュタ」のムスカ大佐そっくり。

アガルタのカナ村でシンを待っていた女の子は「もののけ姫」の村落でアシタカを慕うカヤそっくり。

アガルタに入ってシンが髪を切って短くしたのは「もののけ姫」のアシタカの出立時にそっくり。

アガルタで明日菜をさらう夷族(いぞく)は「もののけ姫」に出てくる猩々(しょうじょう)にそっくり。

地下世界アガルタで出てくる片腕の無いアガルタのヒト型守り人ケツァルトルが「天空の城ラピュタ」に登場するラピュタの守り人であるロボット兵にそっくり。

描いている世界について

人智を超える文明世界の異世界がある設定が「天空の城ラピュタ」や「千と千尋の神隠し」そっくり。

明日菜の持つ青い石クラヴィスは「天空の城ラピュタ」の主人公シータが持つ青い石の飛行石にそっくり。

明日菜の食事シーンが「となりのトトロ」のさつきやメイの食事シーンにそっくり。

秘密機関アルカンジェリがアガルタを狙って活動しているところが「天空の城ラピュタ」のモウロ将軍率いる軍属そっくり。

アガルタで出てくるシャクナ・ヴィマーナは「風の谷ナウシカ」に出てくるドルクのシュワの墓所の設定にそっくり。

新海誠監督自身の発言として、「今回の『星を追う子ども』ではジブリ作品を連想させる部分が確かにあると思うのですが、それはある程度自覚的にやっているという部分もあります。」と述べています。

自覚的にジブリを引用しているということですね。

この作品は観客動員数が振るわず、新海誠監督映画としては唯一、興行的に失敗しています。

君の名は。

キャラクターについて

少年と少女のボーイミーツガールという設定がジブリのアニメそっくり。

お互いに名前を忘れてしまい探し求めるところは「千と千尋の神隠し」の千尋が名前を忘れてしまうと元の世界に戻れなくなってしまう境遇にそっくり。

描いている世界について

鮮やかな空に美しい白い雲の背景画がジブリのアニメによく出てくる背景画にそっくり。

主人公の瀧が御神体を通じてこの世とあの世の結解を通り、もう一人の主人公の三葉に会いにゆくところは「千と千尋の神隠し」でトンネル(異世界へと通じる結解)を通って神の世界に入り込むところが似ています。

同じく、「となりのトトロ」で巨木にできたトンネルとを通ってトトロの住処に通じるところ、「崖の上のポニョ」でとポニョがトンネルを通るところ、によく似ています。

シーンが似ているというより異世界に入る結解を通るという設定が似ている、ということです。

三葉が瀧に赤い組み紐を渡しお互いに通じた証にしていますが、「千と千尋の神隠し」で千尋がハクから髪の毛をまとめるゴム紐をもらい、千尋が元の人間の世界に戻ってからゴム紐の存在を確認して異世界にいたことが現実だったことを確かめているところの設定によく似ています。

BGM音楽に一貫してRADWIMPSを採用しているところがジブリのアニメが久石譲を採用しているところに似ています。

配給会社が同じ東宝。

本作品は映画公開当時に興行収入が千と千尋の神隠しに次いで日本歴代2位につける大ヒットとなり、新海誠監督は日本を代表する押しも押されぬアニメーターとなりました。

千と千尋の神隠しの重要な要素である異世界や結界の存在がよく似ていると言われていますが、基本的に少年少女の恋愛物語で独特の終わり方をしていたりと描く世界は新海誠監督のオリジナルな作品であり、大ヒットした理由でもあると思います。

天気の子

キャラクターについて

全体構成で主人公が新しい世界で一人になり、異性に出合って助けられたり、心を通じ合ったりするところは「千と千尋の神隠し」によく似ています。

そして、主人公の少年瀧が一人東京で働く場所を見つけ自立してゆく姿は「千と千尋の神隠し」で千尋が神の異世界で一人で働く場所を見つけて成長してゆく姿に似ています。

後半に能力の使い過ぎで消えてしまった陽菜を探しに瀧が超常現象で雲の中を彷徨うシーンは「千と千尋の神隠し」で消えてしまったハクを探す千尋にそっくり。

描いている世界について

雲の中で彷徨うときに雲の形が龍だったり鯨だったり様々な雲海を抜ける辺りは「天空の城ラピュタ」の龍の巣にそっくり。

瀧が雲の中で彷徨うときに水でできたたくさんの魚らしき生物的な存在に出合うところは、「崖の上のポニョ」でポニョが魚が泳ぎまわる海の上を走って宗介に会いに来るシーンによく似ています。

瀧が空の中に陽菜を見つけ、二人で手をつなぎ空中を落下してくるシーンは「千と千尋の神隠し」で千尋が消えてしまったハクを見つけ空から二人で落ちてくるシーンによく似ています。

本作品は東宝との三部作契約の2作目になりますが、これもまた、大ヒットし興行的に成功しています。

興行収入142億円で2024年7月20日時点で国内歴代17位に付けています。

ジブリオマージュを散りばめながらも、新海誠監督独自のボーイミーツガール物語になっているところや芸術の域に達している背景画などによりオリジナル作品として成功したと言えましょう。

すずめの戸締り

キャラクターについて

猫のダイジンを追いかけて電車のロングシートに座るところや座り方は「耳をすませば」の雫と同じです。

開いた後ろ戸からミミズが出てきて暴れるところは「もののけ姫」で呪われて変化し暴走するタタリ神によく似ています。

ミミズが地面に倒れるシーンは「もののけ姫」で最後に首をなくしたデイタラボッチが巨大化し地面に倒れるシーンとよく似ています。

ミミズが暴れて龍のような姿になるところは「もののけ姫」のハクの本当の姿である龍に似ています。

草太のなれの果ての凍り付き要石になった椅子にすずめがキスをするところは「ハウルの動く城」で人間の姿を保てなくなり獣に変化したハウルにソフィーがキスをするところに似ています。

すずめと環が自転車に二人乗りするところは「耳をすませば」の聖司と雫と同じです。

描いている世界について

東北へ向かう車中でスマホから松任谷由実のルージュの伝言が流れてくるところは「魔女の宅急便」と同じです。

同時に猫のダイジンが乗った芹沢の車の横をヤマト運輸のトラックが通過してゆくところはヤマト運輸がスポンサーとしてついていた「魔女の宅急便」を彷彿とさせます。

ダイジンを追いかけて開いた後ろ戸を閉めてゆく旅の様子は「耳をすませば」で雫が電車でロングシートに座っているところに猫が登場し、聖司の部屋に誘導される流れに似ています。

すずめや環、ダイジン、サダイジンが芹沢の車に乗って東北の後ろ戸に出発するところは「ハウルの動く城」にそれなりの事情を抱えたいろいろな人や化身が一緒に乗り込んで生活し移動する様子によく似ています。

最後にすずめが子供のころに使っていた宝物箱(何かのお菓子の缶箱)の表面に書かれた「Agartha」はあの世・冥界を意味する言葉で、すずめの戸締りの物語では常世を暗示するものですが、ジブリ作品によく使われる異世界の手法へのオマージュと見られます。

さまざまなジブリ作品からオマージュと見られる引用が見られますが、あくまでもリスペクトとしての引用にとどまり、映画全体に良い意味での刺激を与えることに成功しています。

この映画の物語全体の狙いはジブリ的なものではなく、あくまでも新海誠監督オリジナルなものになっています。

本作品は東宝との三部作契約のラストの映画ですが、大ヒットし、2024年7月20日時点で興行収入が日本歴代16位を記録しています。

日本だけでなく世界各地で上映され大ヒットを連打し、興行収入が2023年5月時点で420億円に到達したそうです。

ジブリについて新海誠はどう言っている?

新海誠監督ご自身はすずめの戸締りについて魔女の宅急便へのオマージュについて、海外出版社からのインタビューに次のように答えています。

”そうですね、もちろん『魔女の宅急便』は宮崎監督の作品の中でも私の大好きな映画の一つです。

しかし、私がこの映画に言及したのは単に敬意を表すためだけではなく、『すずめの戸締まり』を私たちの現実の延長として位置付けるためでもあります。

もし2011年の地震が映画の世界に存在するなら、その現実をもう少し進んで見ると、スタジオジブリも存在し、ラジオから日本のクラシックなポップスが流れているはずです。

『魔女の宅急便』は日本のほとんど全ての人が大切にしている共有体験なので、それを映画の世界の一部として言及することで、映画の世界が私たちの現実の延長であるという感覚を作り出すための点と点を結ぶ線を描くのに役立つのです。”

出典:https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/makoto-shinkai-interview-suzume-anime-berlin-2023-1235329404/を和訳

新海誠はジブリに似てる?作品への影響はある?まとめ

新海誠監督のアニメ映画作品についてジブリに似てるかどうか考察し、映画作品への影響がどの程度あるか、についてまとめて記事にしてみました。

確かに似てるところはキャラクター面でもストーリー面でも多々あり、作品に影響を与えていると言ってよいでしょう。

しかし、日本アニメ界を長きにわたって牽引し世界で通用するブランディングに成功したジブリに作中引用の形でリスペクトを表しながらも、新海誠監督はオリジナルな新しいアニメ映画作りに成功しています。

すずめの戸締りのあとに公開されたジブリの「君たちはどう生きるか」へのリスペクトが次回作に登場するかどうか、楽しみにしたいところです。

ちなみに新海誠監督と宮崎駿監督は一度も対談したことがありません。

もし実現したらどのような会話になるのか大変興味深いところでもあります。

何よりも2025年と噂されている新海誠監督の次回作に大いに期待したいところです。

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